コンセプト
「ほんの少し」がすごく大切
ピアノを調律するということはどういう意味があるのでしょうか。もちろんピアノをよく弾く人は、調律の意味はよく分かっているし、実際調律をするとピアノがどんな音に変わるかもわずかに感じていると思います。ただ、普段ピアノをあまり弾かない人にとってみますと、調律の意味というのはなかなか分かりにくいのではないかと思います。実際調律をしても、非常に大雑把な言い方ですがピアノの音ってそんなに変わるわけではないですし、やはりピアノの音はピアノの音です。まあ少し変わると言えば変わるだけなのかもしれません。確かに調律をしても変わるところといえば「ほんの少し」です。しかし、実は音楽をするのにその「ほんの少し」のところが目には見えませんが、非常に大切な部分だと思うのです。
ピアノを弾くという行為は、指を動かして鍵盤を叩き、何の曲を弾いているのか分かる、あるいは間違わずに弾く、ということが本来の目的や大切なことではないはずです。そうではなく、その「ほんの少しの音の差」の部分が、実は音楽の一番大切な部分、一番私たちが感じたい、あるいは伝えたいと思っている部分を感じさせ、表現してくれるのだと思うのです。
ベーゼンドルファーとの出会い
私は技術研修で1週間、ベーゼンドルファーピアノに接する機会がありました。そして、その一週間は私の大きな転換点になりました。ベーゼンドルファーはそれまでにも何度か触ったこともありましたし、良いピアノだということは十分認識していたつもりだったのですが、その一週間で、まさに私の「耳からうろこが落ちた」のです。
その研修は、一台のベーゼンドルファーのグランド·ピアノをあてがわれて、朝から晩までそのピアノを触っています。主に整調、整音の研修で、時々音を確認しながら作業を進めていくのですが、確か三日目か四日目くらいでした。音を出しながら作業を進めていたとき、大屋根の蓋を開けているそのピアノから音を出すと、まるで楽譜の音符が絵描いたようにそのピアノの中から沸き上がりこぼれ出てくるのです。それは弾けども弾けども、まるで尽きない泉の水のように楽譜の音符がぱらぱらと散らばってあふれ出してくるように見えました。もちろん実際に音符が見えたわけではないのですが、本当にそのように感じたのです。弾いても弾いても尽きることなく音符があふれ出て飛び散るのです。
私はそのとき初めて、「ああ、だからピアノが300年間も、滅びず世界中に普及し、愛されて続けたのか」と何か心の底から納得したのでした。
ピアノ販売
ピアノの販売もしております。
ヨーロッパのピアノは何といっても音が素晴らしいです。
ぜひ皆様におすすめしたいと思っております。
独自の販売ルートを有しておりますので、お気軽にご相談ください。
世界三大メーカーの取り扱いもしておりますので、何なりとお申し付けください。
グランフィールとは
今、アップライトピアノに革命が起きています。
アップライトピアノが初めて考案されたのはホーキンスによる1800年。しかしそれは音量も小さく試作に終わりました。それでも19世紀中には改良されたアップライトピアノが世に出て、場所を取らないピアノとして大いに普及し、改良を加えながら現在に至っております。
しかしながら、グランドピアノとの差は、特に1821年、フランス人エラールによりグランドピアノにレピティションレバーが考案されてからは、グランドピアノの連続打鍵の性能が飛躍的に向上し、それが今なおアップライトピアノには越えがたい差となって百数十年の歳月が流れてきました。
また、音色においても、打鍵方式が上下(グランド)か前後(アップライト)かの違いにより、ハンマーの弦に接している時間の差となって、倍音の出方においてずいぶんと違いがでるため、それもグランドピアノとアップライトピアノの大きな音色の違いとなっておりました。
今回、鹿児島にお住いの藤井幸光さんという調律師が考案したグランフィールという製品が、ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞をいただき、また国内および海外でも特許を取得し、普及が始まっています。
これは、アップライトピアノのアクションに改造を施し、アップライトピアノの弱点を克服して、グランドピアノ並みの連続打鍵と音色の改良を実現した画期的なもので、今まで巷にいろいろあった、「アップライトピアノだけどグランドピアノの音色に近づいた」とか、「グランドピアノのタッチを目指した」とかあったものとは一線を画した、すばらしい発明となったのです。
具体的には、ハンマーバットの形状の改良と、新たにレピティションスプリングを取り付けることにより、連続打鍵の性能をほぼグランドピアノ並みにしました。また、ショットアンドドロップスプリングを取り付けて、ハンマーが弦に当たっている時間を短くコントロールして、グランド並みの高次倍音がよく出るようにしました。
グランフィールを取り付けますと、音とタッチが生まれ変わります。音は明るい、垢抜けた華やかなそして繊細な音になり、またタッチも、鍵盤が下がりきる最後のアフタータッチの部分に多少の重みが出るのですが、それがまた音と鍵盤のコントロールをしやすくして、いい抵抗と、鍵盤が指へ跳ね返ってくる追随感が生まれ、かえって弾きやすく感じられるようになります。
鍵盤を従来のアップライトのように全部上げないと次の打鍵ができないのではなく、半分も戻すと次の打鍵ができるので、弱音での連続打鍵が可能になります。また音にレガート感が出ます。
タッチが変わると、おのずと弾くテクニックも変わり、ピアノをより弾きこなせるようになります。
音楽が変わります。
グランフィールでピアノの新たな世界を体験してください。
弊社ではグランフィールの取り付けも行なっております。殆どのアップライトピアノに取り付けが可能です。
日本で販売されている普通のアップライトピアノでしたら費用もほぼ¥200,000(税別)で付けられます。(一部、消音装置付きなど特殊なものや、状態の良くないピアノなどですと、¥20,000〜別途費用がかかる場合もあります。)
また、取り付け期間中はピアノは音が出せなくなるため、代替ピアノ(電子ピアノ)の無料貸出しも行なっております。
興味のある方、ご質問などはぜひお気軽に、トップページの右上にあるメールフォームよりお問い合わせください。
グランフィール取付の紹介
2019.8.17
(ヤマハUX)
今日調律にお邪魔したのは、もう40数年も前からずっとお邪魔しています桑名市多度町の石川様。昭和51年頃にご購入いただいたヤマハUXです。
実はこのピアノも昨年末私にとっては2台目のグランフィールの取付けをさせていただいたピアノなんです。
今弾いているのは中2のお嬢さん。コンクールとかもチャレンジしており、以前よりグランドピアノを検討して頂いてたのですが、置き場所とかの問題で二の足を踏んでいたところへ、グランフィールの話をさせていただき、あっさりこちらに決めていただきました。
実はこのピアノ、グランフィールを取り付けてから今日が初めての調律で、まだはっきりと使用感もお聞きしてなかったので、今日は正直恐る恐る感想をお聞きしました。
すると、帰ってきた返事が、「いやあ、すごくいいです! 音も綺麗だし、ほんと全然違います。」とのこと。嬉しかったと同時にホッとしました。
お嬢さんは先生のお宅にレッスン通ってるのですが、(先生宅はグランドピアノです。)先生曰く、「音がしっかりと出せるようになった。大きい音が出せるというのでなく。」
ということらしいです。タッチのコントロールができてきたということなのでしょうか。
先生にはグランフィールのことも何も話してなかったのですが、そのように言われたそうで、「やはり弾き方も変わるものなんですねぇ。」とびっくりされてました。
「ピアノが(本物の)ピアノになった。」と、とても喜んで頂きました。
石川様は現在中学校の先生をしているのですが、グランフィールを取り付けてからご自分でも30数年ぶりにピアノを弾くようになって、今年は卒業式の伴奏もされたそうで、蘇ったご自分のピアノに、すごく満足されていました。
調律師としてはとても嬉しいことです。
仕事の醍醐味ですね。
2019/07/12
(ディアパソン125M)
1週間ほど前にグランフィールの取り付けをしたディアパソン125M。その後の様子を聞くのにお客様に電話をしました。
「私も電話をしようと思ってました。娘(高校の音楽教師です)が久しぶりにピアノを弾きまして、私は外で聴いていたのですが、それがとても綺麗な音で、あれ?娘こんなにピアノ上手だったかな(笑)と思ったんですよ。それで私(元中学の音楽の先生)も久しぶりに弾いてみたのですが、すごく弾くのが楽しくて、普段何も言わない主人からも『綺麗な音やな。うちのピアノこんな綺麗な音したか?』と言われまして、私も嬉しくてちょっとこれから毎日弾いてみようかと、なんかやる気が湧いてきました。素晴らしいものを着けて頂いてありがとうございました。それを言いたくて電話をしようと思っていたところでした。」とのこと。
すごく嬉しかったです。
着けた直後に弾いていただいたときは、低音側のタッチの重さを言われていたので、実はちょっと気になってました。それでそのことを確かめようと電話をしたのですが、却ってあの重さが心地よい、とのこと。
いやグランフィールすごいですよ。藤井さんはすごいものを発明しました。
その後、娘さんからもメールが。
「町田さん!ピアノが一瞬上手くなった娘です(笑)
私もご連絡しようと思ってました〜!素敵な音にして頂いてありがとうございます😊
普段ゆっくりピアノを弾くことはありませんが、久しぶりに、あ〜ピアノ練習したいな〜と思えた瞬間でした✨
うちのピアノも町田さんにお世話になって、もう30年以上経つでしょうか。いつも丁寧にメンテナンスして頂くおかげで、長い間素敵な音を奏でてくれています。
これからも、我が家のピアノをよろしくお願いいたします🙇♀️」
うれしいですね。
2019/04/12
(HELMAN)
先日は、伊勢市のU様宅のアップライトピアノHELMANに、グランフィールの取り付けを行ない、納品してきました。
1週間ほど、ピアノのアクションをお預かりして、それにグランフィールの改造を施しての納品です。
結果は、音とタッチが生まれ変わり、明るい、垢抜けた華やかな音になり、またタッチも、鍵盤が下がりきる最後のアフタータッチの部分に多少の重みが出るのですが、それがまた音のコントロールをしやすくして、いい抵抗と、鍵盤が指へ跳ね返ってくる追随感が生まれ、そこの小学6年生の息子さんがお父さんに「弾きやすくなって嬉しい。」と言ってたそうで、取り付けた私もとても嬉しく感じました。
これによりピアノを弾く機会が今以上に増えてくれれば、こんな嬉しいことはありません。
次回の調律にお伺いするのが待ち遠しいです。
まだまだ、お客様への紹介を始めたばかりのグランフィールですが、これはとても素晴らしいものです。アップライトピアノの革命と言ってもいいほどのものだと思います。
鍵盤蓋の右隅に貼られた「Granfeel」の金色ロゴも誇らしげです。
2018.12.19
(ヤマハW101Mサイレント)
昨日、僕のお客様に、僕にとっても初めての、アップライトピアノに取り付けてグランドピアノ並みのタッチと音色にするというグランフィールの取り付けをさせていただきました。
そしてその結果はというと、これがほんとに劇的に変化しました!
今までのアップライトピアノで言うと、指で押さえた鍵盤の先に付いているハンマーが、勝手に弦に放り投げられる感じだったのが、指先にハンマーがくっついてくる感じで、非常にコントロールがしやすくなったように感じました。
またその音色も、粒の立った、それでいて暖かい、とてもいい音になりました。
いやあ、自分で取り付けていながら言うのもなんですが、その変化にびっくりです。
ちょっと今夜は興奮が冷めません。
2018.11.8〜9
(グランフィール取付研修)
3年ほど前の2015年頃に初めてグランフィールを知り、かなりの衝撃を受けたのですが、実際お客様のピアノに取り付けとなると、まずそのピアノの大きなアクションを九州鹿児島の藤井さんのもとまで届けなくてはいけなく、大変手間のかかることがネックになっていて、なかなか具体的にはお勧めできませんでした。
それが今回、ポートメッセ名古屋でおよそ1700社ほども集まる「異業種交流会」というものがあり、そこにグランフィールも出品をするので、その時に取付研修をおこなうというこで、僕も喜んで参加させて頂きました。
狭いブースの入口近くにグランフィールが取り付けられたアップライトピアノを2台展示し、一番奥に長机を置きその上にアクションを置いて研修を受けたのですが、研修の間中、僕は何度も入口の方を振り返ることになったのです。それは、いろんなお客様が来て入り口のピアノを弾いていくのですが、その音が、今ここにあるピアノではありえない音、つまりグランドピアノの音が聴こえてくるのです!「なんでこんな音が聴こえるの?こんな音の出るピアノここにはないでしょ。」と思わせる音なんです。
グランフィールの良さを実感させられました。
めでたく2日間の研修を終え、これでやっと自分のお客様に堂々とお勧めができるようになりました。