音楽の神様
2019/04/20
今日の仕事。
リハーサルを聴きながら、自分の調律の音をチェック。
確かにそこには自分が作った音の美がある。感じる。ピアニストの奏でる美しい音楽を聴いていて感じる。自分の音がそこにある、と感じる。
ピアニストの演奏は素晴らしく綺麗でした。
でも、調律師はどこまで存在していいのだろうか。あるいは、これも独りよがり?
なんか、自分のした仕事に迷う時があります。でも最後に自分を支えてくれるのは自分の感覚。美意識。音楽観。人が感じてくれるかはまた別のこと。自分の感覚を大切にせねば、と自分に言い聞かせます。
誰かに伝わればそれでいい。
今日も音楽の神様が舞い降りますように。
グランフィールの取付(HELMAN)
2019/04/12
先日は、伊勢市のU様宅のアップライトピアノHELMANに、グランフィールの取り付けを行ない、納品してきました。
1週間ほど、ピアノのアクションをお預かりして、それにグランフィールの改造を施しての納品です。
結果は、音とタッチが生まれ変わり、明るい、垢抜けた華やかな音になり、またタッチも、鍵盤が下がりきる最後のアフタータッチの部分に多少の重みが出るのですが、それがまた音のコントロールをしやすくして、いい抵抗と、鍵盤が指へ跳ね返ってくる追随感が生まれ、そこの小学6年生の息子さんがお父さんに「弾きやすくなって嬉しい。」と言ってたそうで、取り付けた私もとても嬉しく感じました。
これによりピアノを弾く機会が今以上に増えてくれれば、こんな嬉しいことはありません。
次回の調律にお伺いするのが待ち遠しいです。
まだまだ、お客様への紹介を始めたばかりのグランフィールですが、これはとても素晴らしいものです。アップライトピアノの革命と言ってもいいほどのものだと思います。
鍵盤蓋の右隅に貼られた「Granfeel」の金色ロゴも誇らしげです。
キッチンまちだのカレーの会
2019/04/02
昨日、我がキッチンまちだ(我が家のことです)に4人のお客さまがいらっしゃいました。
ソプラノ歌手の木下和美さん、竹谷かな子さん、それにソレイユという名前のピアノ連弾ユニットで活動をされてるピアニストの稲垣さなえさんと丸山洋子さんです。
僕の手料理を召し上がっていただくのにお越しいただいたのですが、当然お食事だけですむはずもなく、我が家のおんぼろNYスタインウェイアップライトをガンガン弾きこなしてのノリノリ連弾演奏と、歌姫お二人の楽しい素敵な歌で、朝から夕方まで、時間の経つのも忘れて楽しいひと時を過ごしました。
時折しも平成からの新元号発表の日。11時半の発表実況中継はみんなで固唾を呑んで見守り、「令和」が発表されるや、またそこでひと盛り上がり。こんな愉快なメンバーと共に新元号発表を見れたのはいい記念(笑)になりました。
今日のメニューはカレーとランプステーキ、それにポトフです。特にこのカレーを目当てにいろんな方が来てくれます。
趣味の料理がいろんな方を我が家に連れて来てくれ、前妻が亡くなったあと、料理一つできなかった僕が、料理を趣味と決め、そしてこのようにいろんな方を我が家に呼ぶ事ができるようになったのは、大変ありがたいことだと思っています。
先妻が病気で寝込んでから僕に美味しい手料理を食べさせ続けてくれた亡き母、料理でわからないことをいろいろ教えてくれた妹、そして今はクックパッド(笑)、美味しい食材を提供し続けてくれるスーパー、お肉屋さん、使いやすく高性能な調理器具の数々、すべてに感謝です。
スプリングアンサンブルコンサート
2019/03/26
3月23日、いつも調律をご依頼頂いている長島あかねさんが主催出演するコンサートに行ってきました。
朝から調律をさせていただき、午後2時からの本番も最後まで聴かせていただきました。
彼女はピアニストでありまた素晴らしい歌い手さんでもあります。それについてはまた別枠で書きたいほどの、歌(合唱)でも活躍されてる方です。
少しだけ書きますと、彼女はヴォーカルアンサンブル《EST》のヴォイストレーナーであり、今はそこの団長でもあります。その合唱団は日本だけでなくヨーロッパの国際コンクールでも何度も素晴らしい賞を獲得している、日本でもトップクラスの合唱団なのです。
さて、この日はピアノとヴァイオリンのコンサートだったのですが、僕はもう基本的に彼女の大ファンですので、素晴らしいコンサートを聴かせてもらい、温かい、満足した気分で帰ることができました。
彼女の出すピアノの音は、ここ数年以上も前から素晴らしく進化し、それゆえ僕はファンになったのですが、なんと言うか、彼女のつま先からお尻、ボディ、肩と伝わって、その肩の先の、腕の先の、指の先の、その鍵盤を押さえる力の道が綺麗に通っているのですよね。だから、そこから出てくる音が、とてもクリアーで、伸びのある音なんです。
彼女のご自宅のピアノの調律をしたあと、試弾してもらった時の音が、数年も前からそんな音になったのです。その音を聴いた時、「ああ、僕なんかは人前でピアノを弾いちゃいけないわ。」と思ってしまったものでした。まあそれでも時々はお客様の前で下手な演奏を聴いていただくことはありますが。
体全体の使い方が、指の先で鍵盤を押して音を出すために、無駄な動きなく合理的に、身体が動いてる感じがするのです。
これはピアノに限らず、他の楽器の場合でも、いい演奏者はそのような体の動きになってるように僕には見えます。
この日はもうひとつ嬉しいことがありました。
それは、コンサートが終わってから彼女が僕に伝えてくれたのですが、この日の譜めくりを頼んだ彼女の知り合いが、譜めくりをしていて「綺麗な調律をしてもらってるね。」と言ってたそうなんです。
おそらくまったく僕のことを知らないその人が、長島さんの綺麗な音を間近に聴きながら、調律に言及してくれたのを聞き、僕は大変嬉しく思いました。
調律で何かを伝えることができるか、というのは僕の永遠のテーマでもあるわけですので、なにか少しでも感じてもらえたのはこの上もない嬉しいことだったのです。
素晴らしい演奏と、音楽と、そしてピアノの音、僕の夢ですね。
茶器
2019/03/17
先日お伺いしたM様のお宅は大分使い込んだヤマハグランドピアノC3A。いつも定期的に調律もさせていただき、落ち着いたとても味のある音に仕上がっています。
M様は元々大学で声楽を専門に習われてましたが、今ではピアノもあまり使われてない様子です。
実は今日書こうとしたのはそのピアノの話ではなく、調律が終わったあと、お抹茶を出していただいた時の話です。
出していただいた器がちょっとたっぷり目なのですが、持ちやすくて、口当たりも良く、また茶器の模様もM様によく似合うような素朴でちょっと可愛らしい、なんか味のある器のように感じました。
それで、お茶を頂いたあと「飲みやすくていい器ですね。」とお話したら、実はその器はM様ご自身が創ったものなんだそうです。
そして、M様曰く「立派な作家さんが創る器はもちろんそれはそれで素晴らしいのですが、そうでなくとも、実際にお茶をよくやってる人が創る器は、やはり使いやすいように作っているので、却ってそういった作家さんのものよりも実際にはいい場合があるように思う。」というようなことを話してくれました。
なんか、ピアノにもどこか通じるようなところも感じ、妙に納得したのです。
どうですか? 愛のあふれたかわいい器だと思いませんか?