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整音って何を整える?
2025/07/13
今日は名古屋にある中部楽器技術専門学校の研修ホールをお借りして、日本ピアノ調律師協会中部支部主催による技術研修があり、朝から参加してきました。
内容は「音作りからの本格的アップライトピアノ整音」。午前10時から午後4時までのみっちり内容の濃い研修でした。
「整音」は自分自身ほぼ毎日実際にやっている作業とは言え、講師の伊藤正敏氏はドイツで6年間の修行の末ドイツ国家資格のピアノマイスターを取得した経験豊富な超ベテラン。大変有意義な研修でした。新たな発見がいくつもあり、またひと回り調律技術の世界が広がった気がしました。

そもそも「整音」とは、音の高さを合わせる「調律」とはまた別の作業で、ピアノの弦を叩くハンマーの、主にフェルトを削ったり針を刺して柔らかくしたりしてハンマーの状態を整え、綺麗で整った音にする作業なのですが、面白かったのはこの作業名を日本語では「整音」(音を整える)、英語では「voicing」(声を整える)、そしてドイツ語では「intoniren」(ニュアンスを整える)と言い、それぞれの国で何を大切に思って作業しているかがその作業名に現れているようで深く考えさせられました。
そうですね。単純に音を整えるだけじゃなく、出てくる音を「声」としてとらえ、更にそれによって表される音楽性のニュアンスまでも整えられるような、そんな「整音」ができればいいなと改めて思いました。
奥が深いです。
だから調律は面白い!
まだまだこれからですね。頑張ります!
整音って何を整える?
整音って何を整える?
2025年 新年のごあいさつ
2025/01/01
今、世の中はAI(人工知能)技術により
劇的に変化しようとしています
その進歩は恐ろしいほどです
でも、AIでは決してできないこと
それは感動する心です
感動こそが人を動かし未来をつくる
音楽はその感動する心を育てるもの
人間が人間であるために大切なものを
育ててくれるのが音楽であり、
ピアノもまたその一端を
担っていると言えるのでしょう
明るい人類の未来を夢見て
今年も私は感動する調律を目指して
頑張っていきたいと思うのです

今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2025年 新年のごあいさつ
2025年 新年のごあいさつ
ギターを始める
2024/08/13
数ヶ月前からクラシックギターを弾き始めました。
その昔、高校時代の1〜2年生の頃、一人独学で弾いていたのを思い出して、最近合唱を辞めてしまって音楽をする機会がなかったのもあり、始めてみたのです。
ギターは懇意にしているギターマニアのお客様からヤマハのクラシックギターを安く譲ってもらいました。感謝です。
始めたきっかけの一つは、ちょっと前にNHK-BSで見た韓国人の朴 葵姫(パク キュヒ)さんという女性ギタリストの演奏を聴いてその昔の美しさに感動したこともありました。
彼女は小さい頃から日本で暮らしており、当時テレビで見た時は普通のどこにでもいる女子大生みたいな雰囲気だったのですが、その決して大きくない手からつま弾かれる音はまろやかで、流れるような美しい音楽を聴かせてくれたのでした。
事実彼女は当時ヨーロッパでの国際ギターコンクールでいくつもグランプリを取ったとのことでした。

ギターを弾き始めていろいろと考えさせられた、あるいは気付かされたことはたくさんあります。
一番大きかったのはその音の響きの魅力ですね。これはピアノにも通じるところがあります。というよりも、音楽の本質とはそんなところなのかなと改めて思いました。
「あの音」を聴きたくて毎日練習に励むわけです。
今では毎日夕食後にギターを弾くその1〜2時間が僕にとって至福のひとときです。
そしてその感動や気付きは間違いなくピアノの調律に通じるものがあります。言葉ではうまく言えないのですが。いや、語ることが多すぎて書ききれないのが正直なところです。

やっぱり音楽からは離れられませんでした。
ギターを始める
ギターを始める
新年のご挨拶
2024/01/02
あけましておめでとうございます。
ブログへの投稿は減り恐縮しておりますが頑張って仕事はしております。
今仕事が一番楽しい!
ようやく仕事を楽しめる境地に入れたようです。今更ですが。
じゃあ今まで何をしていたのか。はい、合唱をしていました(笑)。もちろん趣味です。
でもあれだけ合唱に打ち込んで本当に良かった。
「音楽をする」という体験が、しかも非常に色濃い体験ができたのは、貴重な経験でした。
今の仕事に「音楽をする」側からの目線ができたことは、とても価値ある経験だったと思っています。
これからはその経験も、もちろん仕事のキャリアも全部ふまえて、ピアノ調律師としてますます頑張っていきたいと思っています。
今後共どうぞよろしくお願いいたします。
新年のご挨拶
新年のご挨拶
古典調律の響きに乗せて
2023/02/24
先述した「RYORYO Solo Concert」で頂いた調律依頼、それはRYORYOさんご自身が指定する古典調律で、というものでした。
古典調律については以前もお話したと思いますので詳しくは割愛しますが、普段我々が一般的に使っている平均律というドレミファソラシドの音階よりほんの少しピッチをずらし、ある独特の和音の響きを出すことのできる調律方法のことです。鍵盤楽器で平均律が一般的になる1800年代以前は鍵盤楽器は様々な方式の調律法が使われていました。
その数ある古典調律の中でも今回は「Bach-Seal(1/5)」という調律法です。
ヴェルクマイスター(1/4)ほどは偏っていず、しかしヴァロッティやヤングの1/6よりは響きの美しさが充分出てくる、そんな調律法でした。
なぜこの調律法だったのか、それはRYORYOさん曰く、一番自分の声を響きに乗せられる調律だったから、ということでした。
実はBach-Sealは僕も知らなかった調律法です。
ご本人からデータを頂き、それに沿って調律したわけですが、非常に響きのクリアーな、文化会館ホワイエのヤマハCSが、何かピアノとちょっと違う楽器にさえ聴こえた、ユニークで素敵な音でした。
RYORYOさんが言われるように確かに彼の声がいつものピアノの平均律のある意味ギザギザした響きに乱されることなく、綺麗に乗ってきていたような気がしました。

コンサートが終わって、そのことをRYORYOさんに話したら、「はい、まさに僕の声がよく乗るようにと、僕の声に合わせて調律法を選びました。」という返事でした。
すごくないですか?
もしかしたらRYORYOさん恐るべき感性をお持ちなのかも、(いや、絶対そうなのです)と、人間一人ひとりが持つ秘めたる可能性に感動しました。
古典調律の響きに乗せて
古典調律の響きに乗せて