ピアノに乾電池?
2019/07/04
昨日は津市にお住まいの高校1年生伊東朔(はじめ)くんのお宅に、ヤマハG2グランドピアノの調律に行ってきました。
彼はちょっと前にテレビの「天才キッズ全員集合」という番組で、プロの作曲家相手に作曲とピアノの速弾きテクニックを競う、というのに2度ほども出演して地元ではちょっとした有名人?になりました。
彼は5歳の頃から作曲を始め、すでに数百曲も作曲しているという、大変な才能の持ち主で、やはり僕が見ていても、その発想の豊かさやユニークさというのは、見た目ちょっと落ち着いた、好感度の高いなかなかの好青年という感じとはうらはらに、とても面白いものがあります。
昨日も、調律にお伺いしたら、そのピアノの蓋を開けた状態でまず目に飛び込んできたのが、何やらピアノの中のダンパーに単三乾電池がいくつも貼り付けてあるのです!
一瞬これは現代曲を弾くのに施された何かの改造なのかと思いましたが、すぐに、ああ、ダンパーの動きが悪くて音が止まらないんだなと納得がいったのですが、それにしても、ダンパーが下に落ちないから、乾電池をおもり替わりに貼り付けて、音が止まるようにしようという発想が、なかなかできるようでできないことだと思います。
YouTubeに彼のユニークな演奏がたくさん上がっています。よろしければまた見てあげてください。
「伊東朔」で検索すれば出てきます。
はたして彼はどこまで伸びていくのか。
楽しみです。
鉋(かんな)の刃を研ぐ
2019/07/03
先日刃物研ぎをしました。
今回は調律工具とか包丁とかではなく、鰹節削り器の鉋の刃です。
実はこの鰹節削り器、僕が生まれるずっと前から我が家にあったもので、軽く100年以上は経っています。
それでも未だに現役で僕は使い続けているのですが、ずっと前から刃がぼろぼろになっていて、でもそれをどうやって研いだらいいのかがよくわからなく、それが先日、浜松であった国際ピアノ調律師世界大会の時に、そこで刃物研ぎの実演を見て、ヒントを教えてもらい、それを頼りになんとか研ぐことが出来ました。
結果は上々です!
気持よく切れるようになりました。
よく言われることですが、昔の道具はやっぱりいいです。素晴らしい切れ味に心もウキウキしますし、料理がまたまた楽しみになりました。
写真は100年経った、僕が小さい頃からの思い出が詰まった、しかも未だに現役で毎日のように使用している削り器の姿です。
できるなら少なくとも僕が見させてもらっているピアノたちも、100年経った時に、このような姿で残っていてくれれば本当に嬉しいなと思います。それを夢見て調律に励んでおりますが、100年後は見れませんものねぇ。
想像するしかないです。
岐阜長良川の鵜飼
2019/06/26
昨日、生まれて初めて岐阜長良川の鵜飼に行ってきました。
想像よりもうんと楽しかったです。
静かな川面を進む舟の上での夕食。しかも持ち込み可。もちろんお酒も。その上帰りにはゴミやら空き缶やら置いていってくださいとの、なんとも心配りの効いた対応。感激しました。
僕らは途中スーパーで買ったビールや、とっておきのワインやら持ち込み、川の上を流れてくる爽やかな風と、すぐそこまで迫ってくる山々の緑を感じながらなんとも贅沢な時間を過ごしました。
およそ一時間半も舟の上で食事とおいしいお酒を楽しんだあと、いよいよ鵜飼の始まりです。
昔ながらの鵜飼の漁の仕方はとても興味深く、また夜の暗闇の中で映える松明の灯りはとても幻想的でした。
ただ、実際は見ていても感じましたが、あまり鮎は取れてないんじゃないかと。だから漁というよりショーと言ったほうがいいかなと。そして、今や6軒の鵜匠の家を残すのみとなって、その家に生まれた長男は嫌でも鵜匠になることが義務付けられているとの話も聞き、どの世界も大変なことで、それでも鵜飼というひとつの伝統文化を守りぬいていくのは並大抵の努力ではないことを見ていて非常に感じました。いろいろと考えさせられました。
僕は好きな音楽のそばで仕事をすることができてなんと幸せなんだろうと、そんなことも改めて感じました。
おもしろうて やがてかなしき うぶねかな 芭蕉
ピアノの蓋が
2019/06/25
こんな修理依頼も来ます。
「鍵盤のフタが外れていて、真鍮の長い蝶番もどこかにいってありません。直りますか?」
はい、もちろん直しますが、それにしてもあの長い蝶番が無いとは。
まっ、そんなこともありますよね。
点珈琲店というコーヒー屋さん
2019/06/11
日曜日に立ち寄った名張市にある「点珈琲店」。
元小さな郵便局を改造して、シンプルな落ち着いた喫茶店にしたお店で、マスターのセンスの光る素敵な店内でした。
その淹れるコーヒーがこれまたこだわりの極致のようなコーヒーで、カウンター席の目の前で淹れてくれているマスターの振る舞いに見とれてしまい、声をかけるのもはばかられるような、落ち着いた時間が流れてました。
それでも思い切って(静寂を破り)聞いてみました。「その淹れ方はマスターが自分で考えたのですか?」と。
返ってきた答えは、「どこかでこんな入れ方を見たことがあって、それを自分なりにアレンジした」のだそうで、温度計で管理されたちょっとぬるめのお湯(だそうです)をポタポタポタと、気長に少しずつひたしていくのです。
豆もまた自家焙煎で、手回しの小さな釜で20分くらい、少し深炒りにするそうです。
出されたコーヒーの味は、雑みのない、香り高く豆の味まで染みこんだような、とても素敵な味でした。
また美人の奥さま手焼きのケーキも、ほっこりとした味で、久しぶりに喫茶店でのコーヒーを充分楽しませてもらいました。
ちなみに、「点」という名前は、
「珈琲は 生活の 読点『、』 そんな 苦くて 甘い 深煎り珈琲」
と、これまたシンプルなセンスのいいメニューの裏に書いてありました。
自然豊かな赤目地方(日本一美しい村、だそうです)へのドライブがてらに、ぜひまた立ち寄りたいお店でした。お薦めです。
近くに天然温泉「お亀の湯」というぬるぬるの温泉もあります。これもお薦め。